狭い家を広く住む

狭小住宅の建築家、安藤忠雄

狭小住宅の建築家、安藤忠雄

狭小住宅の建築家、安藤忠雄 安藤忠雄は日本を代表する建築家として数多くの教会や美術館を手掛け、大きな建築物を得意とする、と思われがちですが、実は、狭小住宅を手掛けたことで、広く知られるようになった建築家です。
安藤は、独学で建築を学んだこともあり、仕事を取るのに苦労していたのですが、「住吉の長屋」という、コンクリート打ちっぱなしに、家の中に屋根のない通路を作り、家の中に外を取り込む、という斬新なアイディアを見事に表現した作品が認められ、そこから華々しい活躍が始まりました。一般の住宅であるにもかかわらず、コンクリートのシンプルで無駄のないフォルムは、1976年の作品とは思えないほど洗練され、現在に通じるものがあります。今、私たちが剥き出しのコンクリート建築をカッコイイと感じるのは、安藤忠雄のおかげと言っても過言ではありません。代表的な作品として、教会3部作と呼ばれる、「光の教会」「水の教会」「風の教会」が挙げられますが、「住吉の長屋」と同様にコンクリートでシンプルだが洗練されたフォルムの中に教会特有の光を取り入れた建築であり、大きな建物でも狭小住宅でも、同じコンセプトで同じ美しさを表現できる、と教えてくれる作品となっています。

建築家、安藤忠雄の傑作、狭小住宅「住吉の長屋」

建築家、安藤忠雄の傑作、狭小住宅「住吉の長屋」 世界的建築家の安藤忠雄が手掛けた住宅に「住吉の長屋」という、狭小住宅があります。長屋という、建物が隣接し日差しが入り難い、特異な環境を発想の転換で見事に克服した作品です。コンクリートうちっぱなしのすっきりとした外観で、センスの良さが表れています。施工は1976年、当時はコンクリートそのままの建物は、倉庫で経費削減のために塗装を省くなど、手抜きで仕上げたものしかありませんでした。今ではおしゃれなビルに起用され、安藤忠雄の影響力を感じずにはいられません。
長屋に光を入れるため、2階通路の屋根をなくし、家の中に外を取り入れる、といった斬新な発想も、コンクリートの外観とよく合い、新しい住宅の在り方を示しています。コンクリートのため、しっかりとした質感がありますが、内部も余分な構造がなく、狭小住宅の圧迫感を小さな美術館のように仕上げています。安藤の代表作の教会3部作や数多く手掛ける美術館にも通じるところがあり、狭小住宅でありながら、贅沢な空間を有する家、と言えます。